交通事故で後遺障害を負った際に気をつけるべき3つのポイント
交通事故によって怪我を負った場合、加害者からその治療費などが支払われることになります。また、それとは別にいわゆる「慰謝料」というものも支払われます。
けれども、怪我の程度によっては現代の医学の力で完治することができない病気もたくさんあります。これらを交通事故において「後遺障害」と呼んでいます。
例えばむち打ち症でも、症状が一定以上の場合は後遺障害として認定されることもあります。
そして、後遺障害に認定されることで通常の慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」というものが請求できるようになります。
つまり、この後遺障害に認定されるかどうかは、賠償金の総額に多大なる影響を与えるということなのです。
今回は、正当な賠償金を受け取るために、後遺障害認定において気をつけるべき「3つのポイント」について解説致します。
■治療方針、治療過程に気をつけよう!
第一に重要なことは、治療方針や治療過程です。
そもそも後遺障害の認定を受けるには「後遺障害診断書」が必要となります。
そして、後遺障害診断書を書けるのは医師、医者のみです。そのため、事故後、接骨院や整骨院、柔道整復師などにかかっていると診断書を書いてもらうことができませんので注意が必要です。
また、事故後の怪我に対する処置が不適切だったりしますと、加害者側からの、
「被害者の怪我に対する治療が不適切だったために、症状が必要以上に悪化した」
「過剰治療であり、治療費を無駄に使い過ぎている」
などと言った主張を許す結果となってしまいます。
そのため、まずは事故によって怪我を受けましたら、できる限り早い段階で弁護士に相談し、適切な治療を戦略的に受けましょう。
【まとめ】
1:交通事故によって負傷した場合は、必ず病院で医師の診察を受ける。(むち打ち症は、接骨院や整骨院ではなく、整形外科等を受診する)
2:その後の治療方針については、医師、弁護士双方のアドバイスを聞きながら進める。
3:医師や弁護士からアドバイスされた通院頻度、通院回数を守り、適切な治療を継続する。
■後遺障害認定申請に気をつけよう!
これ以上怪我の治療をしても回復が見込めない、と医師が判断するタイミングを「症状固定」と言います。
そして症状固定後に一定の症状が残っている場合にのみ、後遺障害認定を受ける事が出来ます。
そもそも、後遺障害認定は主治医が判断するのではなく、主治医が作成した「後遺障害診断書」を基に、損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)が判定します。
重要な事は、後遺障害認定において本人と損害保険料率算出機構による直接面談の機会は一切ないという事です。つまり、本人が体の痛みや不調を直接判定人にアピールする事はできないのです。
よって、後遺障害認定においては主治医の書く「後遺障害診断書」の記載内容が「すべて」なのです。
つまり、ここに適切な内容が記載されていなければ、たとえ同じ症状だとしても判定が変わってくる可能性があるのです。
主治医は当然医師ですから、診断書の書き方は心得ています。
しかし、
「適切な後遺障害認定を受けるためのノウハウ」
は持ち合わせていません。
そこで重要になってくるのが弁護士によるアドバイスです。この段階ですでに弁護士に依頼していれば、判定の微妙な「むち打ち症」などの後遺障害の場合は、後遺障害診断書を作成する前に弁護士が病院まで同行し、主治医に診断箇所を指定したり、ポイントとなる部分を書き漏らしたり省略しないよう具体的にアドバイスする事ができるのです。
これによって、後遺障害の認定率はかなり変わってきます。
後遺障害認定は書類を提出してからおよそ1〜2ヶ月程度で結果が出ます。
また、判定に納得がいかない場合は、「異議申立て」をする事も可能で、主張の仕方を変える事で判定が覆る事も少なくありません。
【まとめ】
1:後遺障害認定は、後遺障害診断書の内容がすべてであり、口頭での主張はできない。
2:交通事故に強い弁護士に依頼することで、主治医に後遺障害診断書を記載する際の注意点および診断する際の診断箇所などについて細かくアドバイスしてもらうことが重要である。
■後遺障害慰謝料と逸失利益の請求に気をつけよう!
後遺障害が認定されたとしても、それで安心してはいけません。
後遺障害が認定されると、次の2つの項目が別途請求可能となります。
1:後遺障害慰謝料
通常の傷害慰謝料とは別に、後遺障害を負った事による慰謝料を別途請求する事が可能です。そしてこの後遺障害慰謝料は、傷害慰謝料よりも金額が大きくなるためとても重要です。
そして、この後遺障害慰謝料も算出に用いる基準によってその金額が大きく変わってきます。
例えばむち打ち症などでも認定の可能性がある、14級や12級だとしても、以下のような違いがあります。
○14級の場合
自賠責保険基準の慰謝料額:32万円
弁護士基準の慰謝料額:110万円
(その差額、なんと78万円!)
○12級の場合
自賠責保険基準の慰謝料額:93万円
弁護士基準の慰謝料額:290万円
(その差額、なんと197万円!)
これを知らずに、相手方と示談交渉をすると自賠責分の後遺障害慰謝料だけで納得させられてしまいます。
この価格差は、後遺障害の等級が上に上がれば上がる程、その差はどんどん大きくなります。
この点については、ご自身で主張しても保険会社はなかなか相手にしません。そのため、後遺障害認定が絡む示談交渉については、必ず弁護士に依頼しましょう。
弁護士が弁護士基準によって算出した金額を示すことで、保険会社側も応じやすくなります。
2:逸失利益
これは、後遺障害が残ったことによって失った利益のことを言います。通常は「労働能力喪失率」に基づいてその金額を算出します。
ただ、逸失利益の算出には、症状の程度や現在の職業などさまざまな要素が影響して金額が変動する事があります。
裁判上においても、どのように弁護士が主張するのかによって、認められる金額が大きく変わってきます。また、被害者が高齢者である場合には、逸失利益が低く見られることも多いため注意が必要です。
そのため、正当な金額を受け取りたいと願うならば、必ず弁護士に示談交渉を依頼しましょう。
【まとめ】
1:後遺障害慰謝料は、保険会社と弁護士で用いる算定基準が大きく違うため、弁護士に示談交渉を依頼することで、大幅な増額が可能である。
2:逸失利益は、正当な金額を算出するだけでも一苦労。それを相手に認めさせるのは、更なる苦労が伴います。よって、交通事故に強い弁護士によるサポートが必要不可欠です。
■【総まとめ】
今回はポイントを3つにしぼって解説してきましたが、細かな点を言い始めると重要なところはもっと沢山あります。
後遺障害認定は、「戦略性」が大切です。
予め被害者の方にどの等級が認定されうるのかを予測し、その認定に向けて戦略的に治療を進める事で、後遺障害認定もスムーズに進みます。
ただでさえ、交通事故による身体的・精神的ショックは大きいものです。
ですので、もしも後遺障害が残る可能性がある怪我を負った場合は、できる限り早い段階から弁護士に相談しサポートを受けましょう。それが示談金増額への一番の近道なのです。
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