交通事故で「足指の後遺障害認定」を受けたら?慰謝料は?
目次
安全に暮らしているつもりでも、交通事故がいつ起きるか分かりません。万が一、交通事故に巻き込まれ後遺症を負ってしまった場合には、後遺障害認定を受けることができます。
ここでは「足指の機能障害」が起きた場合に、どのような補償を受けられるのか見ていくこととします。もし交通事故で足指の欠損障害、機能障害を負ったら、慰謝料を請求するためによく確認してください。
■足指とは?
足指は下肢の一部に数えられる部位で、リスフラン関節(足の甲の高い位置にある関節)の先にある5本の指を指します。足指は親指から第1指、第2指と数えられ、小指は第5指と名称がつけられています。後遺障害認定で使われる用語にもなるので知っておくといいでしょう。
足指の役割には、主として歩行を補助する機能や、体のバランスを支える機能があります。歩いたり、走ったりする時はもちろん、ものを蹴ったり、躓いたりした時に、足指で補助したり支えたりしています。そのため、足指を失うと日常生活での歩行にも支障が出てしまいます。
ただし、足指の損傷は一見すると、外見からは分かりにくいです。したがって、肉体的・精神的な苦痛が周りからは分かりにくくなっています。しかし、足指を失うと私生活、職業にも影響が出るため、もし交通事故で足指に後遺症を負ったら、加害者に慰謝料や逸失利益を正しく請求する必要があります。
■足指の後遺障害の2つの種類
交通事故で後遺症を負った場合、それを「後遺障害」と言います。足指の後遺障害には「欠損障害」と「機能障害」の2種類があります。それぞれの違いをよく確認し、後遺障害認定を受けるようにしてください。
(1)足指の欠損障害
足指の欠損障害とは、中足指節関節(ちゅうそくしせつかんせつ、別名MP関節、MTP関節)から先を失った後遺障害を指します。中足指節関節とは分かりやすく言うと、足指の根元部分です。したがって、足指の欠損障害とはいずれかの足指が全くない状態を指します。
足指の欠損障害に該当するものは、交通事故自体によるものと、足指の切断処置によるものも該当するケースがあるようです。
(2)足指の機能障害
足指の機能障害とは、足指の骨や関節が損傷を受けて、正常に機能しなくなる後遺障害を指します。具体的には、次の5つが定義されています。
- 第1指の末節骨を2分の1以上失う
- 第2指から第5指の中節骨・基節骨で切断する
- 第2指から第5指の遠位指節間関節・近位指節間関節で離断する
- 第1指の中足指節間関節(MP関節)・指節間関節の可動域が2分の1以下に制限される
- 第2指から第5指の中足指節間関節(MP関節)・近位指節間関節の可動域が2分の1以下に制限される
※足の指の関節と関節の間の部分を指節(しせつ)といいます。
※足の指先から数えて一つ目の関節までの骨を末節骨といい、第1指以外は二つ目の関節までが中節骨、第1指含め全ての指の次の関節までが基節骨といいます。
※基節骨と中節骨の間の関節を近位指節間関節といい、中節骨と末節骨の間の関節を遠位指節間関節といいます。
これらに該当する後遺症がある場合に、足指の機能障害として後遺障害が認められます。
■足指の後遺障害認定
足指の後遺障害は、欠損障害と機能障害ごとに等級が決められています。後遺障害認定が認められると、加害者(保険会社)から慰謝料を受取ることができます。そしてその慰謝料は認められる等級ごとによって異なるため、確認しておく必要があります。なお、後遺障害等級は1級に近いほど、重度の後遺障害であると認められています。
(1)足指の欠損障害
足指の欠損障害では、5級から13級まで6段階の後遺障害が認められています。欠損障害ではどの部位を失ったかによって、認められる後遺障害が決まります。詳しくは次の通りです。
後遺障害認定等級 | 後遺障害認定の認定基準 |
---|---|
後遺障害等級5級8号 | 両足の足指の全部を失う |
後遺障害等級8級10号 | 1足の足指の全部を失う |
後遺障害等級9級14号 | 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失う |
後遺障害等級10級9号 | 1足の第1の足指又は他の4の足指を失う |
後遺障害等級12級11号 | 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失う、又は第3の足指以下の3の足指を失う |
後遺障害等級13級9号 | 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失う |
(2)足指の機能障害
足指の機能障害では、7級から14級までの6段階の後遺障害があります。機能障害の部位や個所数によって認められる後遺障害が違います。詳しくは以下の通りです。
後遺障害認定等級 | 後遺障害認定の認定基準 |
---|---|
後遺障害等級7級11号 | 両足の足指の全部の用を廃する |
後遺障害等級9級15号 | 1足の足指の全部の用を廃する |
後遺障害等級11級9号 | 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃する |
後遺障害等級12級12号 | 1足の第1の足指、または他の4の足指の用を廃する |
後遺障害等級13級10号 | 1足の第2の足指の用を廃する、第2の足指を含み2の足指の用を廃する、または第3の足指以下の3の足指の用を廃する |
後遺障害等級14級8号 | 1足の第3の足指以下の1、または2の足指の用を廃する |
■足指の後遺障害を立証するポイント
足指の欠損障害や機能障害を立証するためには、医学的な根拠が必要になります。そこで足指の後遺障害を立証するポイントを押さえておきましょう。
(1)事故後に骨折等の損傷を確認しておくこと
足指の後遺障害を立証するには、事故後にレントゲンやMRIで損傷個所を確認しておく必要があります。こうした損傷を確認しておくことで、欠損障害の部位を特定できることはもちろん、機能障害を立証する場合にも医学的に証明しやすくなります。したがって、事故後に損傷個所を確認しておく必要があります。
(2)専門のクリニックで診断をすること
足指の後遺障害を立証するには、その機能が全廃していることを証明する必要があります。したがって、足指関節の可動域を正しく調べられる専門クリニックで診断を受けることが肝心です。そして専門医の診断の元、事故との因果関係を証明する必要があります。
■足指の後遺障害による慰謝料の相場
足指の後遺障害が認められれば、等級に従い、加害者から慰謝料を受け取ることができます。この等級は障害の種類を問わず、一律で相場が決まっています。ここでは慰謝料相場が一番高い、弁護士基準を参考に確認しておきましょう。(括弧内は自賠責保険に基づく慰謝料を比較として掲載しています。)
後遺障害認定をされた等級 | 弁護士基準の後遺障害慰謝料 |
---|---|
後遺障害等級5級認定を受けた場合 | 1,400万円(自賠責:599万円) |
後遺障害等級7級認定を受けた場合 | 1,000万円(自賠責:409万円) |
後遺障害等級8級認定を受けた場合 | 830万円(自賠責:324万円) |
後遺障害等級9級認定を受けた場合 | 690万円(自賠責:245万円) |
後遺障害等級10級認定を受けた場合 | 550万円(自賠責:187万円) |
後遺障害等級11級認定を受けた場合 | 420万円(自賠責:135万円) |
後遺障害等級12級認定を受けた場合 | 290万円(自賠責:93万円) |
後遺障害等級13級認定を受けた場合 | 180万円(自賠責:57万円) |
後遺障害等級14級認定を受けた場合 | 110万円(自賠責:32万円) |
※後遺障害慰謝料には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の三つがあります。弁護士に依頼すると慰謝料の増額が見込めます。詳細はこちら:弁護士に依頼すれば示談額が増える訳(3種類の慰謝料支払い基準)
また、慰謝料の他に、被害者は加害者に対して逸失利益を請求することも可能です。逸失利益とは、本来なら受取ることができたはずの給料・賃金を言います。しかし、交通事故によって後遺症を負ってしまうと、その給料に見合った労働ができません。そのため、その分を保証するために逸失利益も受け取ることができます。
逸失利益についてはこちら:
交通事故の『後遺障害による逸失利益』~重要性と相場計算の注意点
■足指の後遺障害は弁護士に相談しよう!
交通事故によって足指に欠損障害・機能障害を負ったら、弁護士に相談した方が良いでしょう。なぜなら、足指の後遺障害は立証こそしやすいものの、その部位から障害が軽視されがちだからです。その結果、後遺障害の知識に乏しい被害者は、加害者(保険会社)にとって都合が良いように話を進められてしまいます。こうした事態を防ぐために、弁護士に相談をしておくべきです。
弁護士に相談をしておけば、後遺障害に関する正しい知見から、被害者の権利を主張してくれます。したがって、被害者は治療に専念することができ、保険会社の対応は弁護士に任せられます。こうしたことから、足指の後遺障害を負ったらすぐに弁護士に相談すべきなのです。
■まとめ
足指の後遺障害認定について見てきましたがいかがでしょうか。足指の後遺障害は「欠損障害」と「機能障害」の2つに分類することができます。そしてこれらの外傷を負ったら、加害者に対して慰謝料を請求することができるでしょう。もし、交通事故で足指に重度の怪我を負った場合には、弁護士に相談をして正しい金額の慰謝料・逸失利益を受取るようにしましょう。
埼玉県越谷市の交通事故弁護士ならエクレシア法律事務所
足指にかかわらず、様々な部位に交通事故で後遺障害を負われた方は、エクレシア法律事務所(埼玉県越谷市)までお問い合わせください。交通事故に強い弁護士が介入することで、加害者との対応、後遺障害認定や症状固定までの治療費、慰謝料、逸失利益などを適切に受け取れるようお手伝いをさせていただきます。
弁護士として、丁寧な対応を心掛け、交通事故の被害に遭われた方を強力にサポートいたします。
バリアフリーな法律事務所となっておりますし、新越谷駅・南越谷駅から徒歩3分ですので、アクセスも便利です。
近隣の春日部市や草加市、川口市、吉川氏、八潮市、三郷市、松伏町、東京都足立区など、広いエリアを対応エリアとしておりますし、無料相談も受け付けておりますので、まずはお電話かメールフォームより相談日時をお問い合わせください。
◆越谷市内の方へ (新越谷/南越谷駅周辺の地図など) | ◆春日部・草加・川口など周辺エリアの方へ (越谷市外からのアクセス) |
- 後遺障害認定手続の流れ
- 後遺障害等級認定申請
- 後遺障害等級について
- 後遺障害に基づく慰謝料
- 弁護士に依頼すれば示談額が増える訳
- 後遺障害(弁護士ブログ)
- 交通事故で「下肢の後遺障害」に~後遺障害認定や慰謝料など
- 「上肢後遺障害」を交通事故で負った場合の後遺障害認定の基本
- 交通事故で「手指の後遺障害」の場合の立証ポイントと慰謝料は?
- 交通事故で『高次脳機能障害』に!後遺障害や慰謝料はどうなる?
- 交通事故で『脊髄損傷』に?後遺障害の立証方法や慰謝料(まとめ)
- 交通事故で『RSD』?後遺障害、立証方法、慰謝料など(まとめ)
- 交通事故で『遷延性意識障害』?後遺障害認定と慰謝料(まとめ)
- 醜状障害の後遺障害認定は?認定基準・立証方法等を解説
- 「交通事故で失明…など」目の後遺障害認定・慰謝料と弁護士相談
- 交通事故で難聴?耳鳴り?耳の後遺障害認定・慰謝料と弁護士相談
- 交通事故に遭って鼻に障害が出た場合の後遺障害・慰謝料は?
- 交通事故による口や歯の後遺障害認定の扱い・慰謝料まとめ
- 胸腹部臓器(内臓)に後遺障害を負ったら?立証ポイントや慰謝料
- 交通事故で『脳脊髄液減少症』の後遺障害認定を受けるには?
- 交通事故で【むちうち症】になったら?後遺障害認定の注意点
- 交通事故で重傷!?後遺障害慰謝料と等級について→弁護士に相談
- 交通事故で後遺障害を負った際に気をつけるべき3つのポイント
- 交通事故の『後遺障害による逸失利益』~重要性と相場計算の注意点