「交通事故で失明…など」目の後遺障害認定・慰謝料と弁護士相談
目次
交通事故による負傷個所は、全身のあらゆるところに及ぶ可能性があります。そんな中で顔に怪我をして、「目の後遺症」を負ってしまう可能性もあるでしょう。
万が一、交通事故により目に後遺症を負ってしまったら、その程度により後遺障害認定を受けられます。そこでここでは目の後遺障害について説明をしていきます。
なお、本ページでは目の障害だけを説明しており、まぶたについては解説していません。
■目の障害とは?
目は視力の役割を持つ部位です。人は日常生活の多くを視覚に頼っており、情報源の8割が視覚からの情報とも言われています。したがって、目に何らかの障害を負ってしまうと、日常生活や仕事に多大な影響を及ぼすでしょう。
目に障害を負う理由は様々あり、代表的なものに仕事などで目を酷使しすぎることがあります。これによって「視力の低下」が起きてしまいます。また、加齢による「白内障」も目の障害の1つと言えます。
ただし、こうした目の障害は治療やメガネなどの矯正器具によって、一定まで回復させることも可能です。なぜなら、自然に起きる病気だからです。したがって、対処療法があります。
しかし、交通事故などの外的要因によって、視力低下等を起こす場合は、神経系にダメージが与えられているケースが多いです。したがって、自然治癒の可能性が低く、一生涯に渡って後遺症となってしまいます。そして、こうした交通事故によって負った後遺症を「後遺障害」とよびます。
■目の4つの機能と障害
一概に目に障害を負ったと言っても、その障害の種類は大きく4つに分類できます。これによって後遺障害認定の内容も異なるので、1つずつ確認しておきましょう。
(1)視力機能
1つ目は視力機能です。視力機能は遠くの人や物などを見て、認識する機能のことを言います。交通事故によって視力障害が起きると、失明や視力の低下などの後遺症を負うことになります。
(2)調節機能
2つ目に調節機能です。調節機能は「眼球のピントを合わせる」機能のことを言います。人は普通、水晶体を調節して、人や物を正しく認識しています。しかし、後遺障害によって調節障害が起きると、人や物のピントが合わずにボヤけて見える後遺症を負います。
(3)運動機能
3つ目は運動機能です。運動機能は「眼球を正常な位置にする」機能のことです。眼球は通常、「水平」「垂直」「回旋」の運動を行えます。しかし、後遺障害によって運動機能に障害を負うと、眼球を正常な位置に調整できなくなります。その結果、視野が狭くなるなどの後遺症を負ってしまいます。
(4)視野機能
最後に視野機能です。視野機能は「目で見える範囲」の機能を言います。人は通常、両目で見ることで一定範囲の景色を認識しています。しかし、視野機能に後遺症を負うと、通常よりも狭まった範囲しか認識できなくなってしまいます。
■目の障害の後遺障害認定等級は?
目の障害の場合、障害の種類ごとに後遺障害認定等級が定められています。この等級によって慰謝料金額や逸失利益の金額が決まるため、確実に押さえておく必要があります。1級から14級まであります。1つずつ説明をするので確認しておきましょう。
(1)視力機能
視力機能の後遺障害認定に関しては、細かく決められています。「両目か?それとも片目か?」と障害の部位数と、「失明か?視力の低下か?」と障害の度合いによって後遺障害が決められているので違いをしっかりと認識しておきましょう。
後遺障害認定等級 | 後遺障害認定の認定基準 |
---|---|
後遺障害等級1級1号 | 両眼の失明 |
後遺障害等級2級1号 | 1眼が失明かつ、他眼の視力が0.02以下 |
後遺障害等級2級2号 | 両目の視力が0.02以下 |
後遺障害等級3級1号 | 1眼が失明かつ、他眼の視力が0.06以下 |
後遺障害等級4級1号 | 両目の視力が0.06以下 |
後遺障害等級5級1号 | 1眼が失明かつ、他眼の視力が0.1以下 |
後遺障害等級6級1号 | 両目の視力が0.1以下 |
後遺障害等級7級1号 | 1眼が失明かつ、他眼の視力が0.6以下 |
後遺障害等級8級1号 | 1眼が失明または、1眼の視力が0.02以下 |
後遺障害等級9級1号 | 両目の視力が0.6以下 |
後遺障害等級9級2号 | 1眼の視力が0.06以下 |
後遺障害等級10級1号 | 1眼の視力が0.1以下 |
後遺障害等級13級1号 | 1眼の視力が0.6以下 |
(2)調節機能
目の調整機能は年齢とともに能力が落ちるとされています。したがって、一般的な基準よりも機能が半分(1/2)以下になっている場合に後遺障害認定を受けられます。
後遺障害認定等級 | 後遺障害認定の認定基準 |
---|---|
後遺障害等級11級1号 | 両眼に著しい調節障害を残す |
後遺障害等級12級1号 | 1眼に著しい調節障害を残す |
(3)運動機能
目の運動障害は、障害の程度と障害部位によって決まります。基準として「複視」がありますが、これは物が二重に見える現象です。これが起きている場合に運動障害があると認定を受けられます。
後遺障害認定等級 | 後遺障害認定の認定基準 |
---|---|
後遺障害等級10級2号 | 正面を見た場合に複視の症状を残す |
後遺障害等級11級1号 | 両眼の眼球に著しい運動障害を残す |
後遺障害等級12級1号 | 1眼の眼球に著しい運動障害を残す |
後遺障害等級13級2号 | 正面以外を見た場合に複視の症状を残す |
(4)視野機能
視野障害が起きているかは、「半盲症」「視野狭窄」「視野変状」のいずれかによって判断されます。「半盲症」とは、1眼が右半分もしくは左半分しか見えない症状です。
また「視野狭窄」とは、一定の範囲が狭まって見える症状のことです。最後に「視野変状」とは、視野の一部に見えない部分があることをいいます。これらが見られる場合に視野障害として後遺障害認定を受けられます。
後遺障害認定等級 | 後遺障害認定の認定基準 |
---|---|
後遺障害等級9級3号 | 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残す |
後遺障害等級13級3号 | 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残す |
■目の障害の立証ポイント
目の障害を立証することは、その症状が明らかなものを除いて困難な場合も多いです。そこでしっかりと立証ポイントを押さえておくことが肝心となっています。ここでは1つずつのポイントを説明していきます。
(1)視力機能の立証ポイント
視力機能の後遺障害認定は、眼鏡やコンタクトレンズなどの矯正後の視力によって検査されます。
通常は、万国式試視力表を使って判断します。これは「ランドルト環(Cのような記号)」や「アラビア数字」を当てるものです。しかし、これだけでは立証が困難な場合もあります。
そこで「スリット検査」、「直像鏡検査」などを受けます。詳しい説明は省きますが、医療機関にて眼球に外傷があるかを判断する検査です。これで外傷が見られれば有力な立証材料になります。
しかし、これでも立証が難しいようなら「ERG検査」や「VEP検査」を行います。こちらは視覚に刺激を与えて、脳波への影響を調べるものです。こうした検査によって、視力の低下と交通事故の因果関係を立証していきます。
(2)調節機能の立証ポイント
調節機能の後遺障害認定を受けるには、眼調節機能測定装置(アコモドポリレコーダー)によって測定します。5歳ごとに基準となる調節力が定められており、その半分以下まで調整能力が落ちている場合に後遺障害であると認められます。
なお、被害者が55歳以上の場合、および事故前から調整力が1.5以下の場合は認定されません。この点には注意をしておきましょう。
(3)運動機能の立証ポイント
運動機能の後遺障害認定を受けるには、「ヘルススクリーンテスト」によって検査をします。この検査を受けると、両眼による位置の違いを測定することが可能です。これによって運動機能に障害が認められれば立証可能です。
なお、運動障害を立証する場合、「ヘルススクリーンテストにより障害が認められていること」のほか、「本人が複視を自覚していること」「眼筋の麻痺によること」も満たす必要があります。これら3つを満たすことでようやく運動機能の後遺障害認定を受けられます。
(4)視野機能の立証ポイント
視野機能の後遺障害を立証するには、「ゴールドマン視野計」によって検査をします。これで検査をして、正常の人よりも視野の範囲が60%未満になっている場合に、視野機能に異常があると認められます。
なお、こうした検査は普通の眼科では行っていない場合が多いです。したがって、総合病院等の専門医院にて検査をして、医学的な根拠を得られるようにしましょう。
■目の障害の慰謝料はいくら?
目の後遺障害認定を受けられたら、その等級によって慰謝料を請求することができます。慰謝料の金額は参考にする基準によって異なりますが、ここでは一般的に高いとされている弁護士基準を参照します。(※括弧内は弁護士を使わない自賠責保険基準の場合)
なお、慰謝料の金額は等級によって決まるため、障害部位に左右されないので覚えておくといいでしょう。
後遺障害認定をされた等級 | 弁護士基準の後遺障害慰謝料 |
---|---|
後遺障害等級1級認定を受けた場合 | 2,800万円(自賠責:1,100万円) |
後遺障害等級2級認定を受けた場合 | 2,370万円(自賠責:958万円) |
後遺障害等級3級認定を受けた場合 | 1,990万円(自賠責:829万円) |
後遺障害等級4級認定を受けた場合 | 1,670万円(自賠責:712万円) |
後遺障害等級5級認定を受けた場合 | 1,400万円(自賠責:599万円) |
後遺障害等級6級認定を受けた場合 | 1,180万円(自賠責:498万円) |
後遺障害等級7級認定を受けた場合 | 1,000万円(自賠責:409万円) |
後遺障害等級8級認定を受けた場合 | 830万円(自賠責:324万円) |
後遺障害等級9級認定を受けた場合 | 690万円(自賠責:245万円) |
後遺障害等級10級認定を受けた場合 | 550万円(自賠責:187万円) |
後遺障害等級11級認定を受けた場合 | 420万円(自賠責:135万円) |
後遺障害等級12級認定を受けた場合 | 290万円(自賠責:93万円) |
後遺障害等級13級認定を受けた場合 | 180万円(自賠責:57万円) |
※後遺障害慰謝料には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の三つがあります。弁護士に依頼すると慰謝料の増額が見込めます。詳細はこちら:弁護士に依頼すれば示談額が増える訳(3種類の慰謝料支払い基準)
この慰謝料のほか、後遺障害等級ごとに逸失利益が定められています。逸失利益は本来であれば手に入れられていた将来の給与・賃金のことです。それを障害によって失ったため、加害者側(保険会社)から受け取ることができるようになっています。
■目の後遺障害認定は「弁護士」に依頼する
基本的に目の障害が医学的に立証できれば、後遺障害認定を受けることができます。しかし、加害者側(保険会社)が、保険料を下げるために異議を申し立てることもあります。また、目の後遺障害は複雑で因果関係を証明することが困難な場合もあります。そうした場合に、被害者を守ってくれるのが「弁護士」です。
特に、後遺障害認定に強い弁護士であれば、仮に訴訟問題に発展しても、被害者のことを守ってくれます。その結果、正当な後遺障害を認めさせたり、慰謝料を請求できたりするのです。したがって、万が一交通事故の被害に遭ってしまったら、弁護士に早めに相談をしておくといいでしょう。
目の後遺障害認定について見てきましたがいかがでしょうか。目の障害は4つに分かれていて、それぞれに後遺障害が認められています。したがって、交通事故に遭ってしまった際に、どのように立証したらいいのかを確認するといいでしょう。また、分からないことがあればすぐに弁護士に相談をすることが肝心です。弁護士に相談をすれば、被害者の味方になってくれるでしょう。
その際、交通事故強い弁護士に依頼することが大切です。当エクレシア法律事務所には交通事故の相談実績が多数ございます。ご安心頂いてご相談いただけるよう、完全個室の面談室をご用意しておりますので、まずはお電話・メールにてご相談ください。ご予約をお取いただいて、お越しいただきます。無料相談もございます。
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