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醜状障害の後遺障害認定は?認定基準・立証方法等を解説

 交通事故で醜状障害(顔に傷)の後遺障害のイメージ

日常生活を送っていると、万が一の際に交通事故に合う可能性もあります。軽微な怪我であれば、その後の生活にも支障は出ませんが、場合によっては重度な怪我を負うこともあります。これを後遺症と言います。
日本では交通事故によって後遺症を患った人に対して、「後遺障害」を認めています。そこで後遺障害の1つに当たる「醜状障害」について見ていきます。

 

■醜状障害とは?

 

まず醜状障害について説明をします。この醜状障害とは、「外貌醜状」と言うこともある症状で、醜い傷跡を負ってしまう後遺症のことを言います。醜状障害は顔や首、腕など、人の目につきやすい部位に負った醜状が該当します。また、傷の程度も人目につくほどの大きさ、傷の場合でないと該当しません。

 

この醜状障害自体では、生活する上で困難をきたさないケースもあります。しかし、傷跡がひどく、見た目が悪いことで、他人が気になってしまうことが多いです。その結果、後遺症を持つ患者さんは、他人の視線を感じる必要があり、精神的に苦痛を負うことになってしまいます。

 

こうした苦痛が私生活や職業生活上に、著しい問題を来たすこともありえます。そのため、万が一、交通事故によって醜状障害を負ったのであれば、後遺障害認定を受け、適切な補償を受けることが大切です。

 

■醜状障害の症状

 

醜状障害の症状をより詳しく解説します。醜状障害の症状は、「障害の部位」「障害の程度」によって決められています。また、症状の程度によって認められる後遺障害も変わるので、適切に判断をされることが重要です。

 

障害の部位

まず醜状障害の部位についてです。これは大きく3つの部位に分類されます。それが「外貌の醜状」「上肢及び下肢の露出面の醜状」「その他の部位の醜状」です。

 

まず「外貌醜状」については、人目につきやすい部位とされており、具体的には「頭部」「顔面部」「頚部」が該当します。そして「上肢及び下肢の露出面の醜状」と頭部以外の露出する部位、また、胸部、胴などの普段は目につかない「その他の部位の醜状」があります。

 

このように障害の部位は基本的には他人の目のつきやすさによって、3つに分類されています。

 

障害の程度

次に、醜状障害として認められる傷の程度についてです。こちらも3つの程度に分類さされます。それが「著しい醜状」「相当程度の醜状」「単なる醜状」です。

 

著しい醜状とは、具体的に「手のひら大以上の瘢痕」などが該当します。また、相当程度の醜状とは「顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕」が該当することになっています。そして単なる醜状は「鶏卵大面以上の瘢痕」などが当てはまります。

 

このように症状の程度により、3つの醜状に分かれています。

 

こうした「障害の部位」と「障害の程度」の組み合わせによって醜状障害は決まります。また、それぞれによって後遺障害等級が変わるので、認定を受ける際には注意が必要です。

 

■醜状障害の後遺障害認定

 

醜状障害による後遺障害等級は、5つに分かれています。後遺障害とは交通事故によって後遺症を負った人が、加害者に対して慰謝料逸失利益を請求することができる制度です。

 

そして、この請求額等を決めるために、1級~14級までの等級が定められており、醜状障害では5つが規定されています。それが7級、9級、12級、14級です。これらを詳しく見てみましょう。

後遺障害認定等級後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級7級12号

外貌に著しい醜状を残すもの

後遺障害等級9級16号

外貌に相当程度の醜状を残すもの

後遺障害等級12級14号

外貌に醜状を残すもの

後遺障害等級14級4号

上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

後遺障害等級14級5号

下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

 

なお補足となりますが、以前は男女によって等級認定が異なりました。しかし、2010年5月27日に京都地方裁判所にて、醜状障害に男女差を設けることが憲法違反であると判断されました。これにより、現在では(2010年6月10日以降)の交通事故による醜状障害は、上述した基準にて後遺障害認定が行われています。

 

■具体的に醜状障害を立証するポイント

 

醜状障害の認定を受ける際に必要になる立証ポイントを説明します。頭部や顔面部など、それぞれの部位によって異なるため1つひとつ説明します。

 

なお、醜状障害を受ける場合、その判断基準が難しいことがあります。適切な後遺障害認定をけるためには、あらかじめ弁護士等に依頼をしておくことをオススメします。

 

(1)頭部の立証ポイント

頭部の醜状障害は2つあり、「著しい醜状」もしくは「単なる醜状」です。これは醜状の程度によってことなり、著しい醜状の場合は下記の条件を満たす必要があります。

 

  • 頭部では手のひら大以上の瘢痕
  • 頭蓋骨の手のひら大以上の欠損

 

また、単なる醜状は下記に当てはまる場合に認められます。

 

  • 鶏卵大以上の瘢痕
  • 頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損

 

ただし、これらが髪の毛などで傷が隠れてしまう場合は、醜状障害として認定されないことがあるので注意が必要です。

 

(2)顔面部の立証ポイント

顔面部は3つの醜状障害が認められています。まず著しい醜状に当てはまる条件が以下の通りです。

 

  • 鶏卵大以上の瘢痕
  • 10円玉大以上の組織陥没

 

また、下記の条件に当てはまれば相当程度の醜状としても認められます。

 

  • 5cm以上の線状痕

 

さらに単なる醜状としては下記の状態が認められています。

 

  • 10円玉大以上の瘢痕
  • 3cm以上の線状痕

 

このように顔面の場合は3つの等級が認められています。しかし、眉の近くで傷が隠れるなどして、分かりにくい場合には認定がされないこともあるので注意しましょう。

 

(3)頸部の立証ポイント

頸部では2つの醜状障害が後遺障害認定されることになっています。まずは著しい醜状です。

 

  • 手のひら大以上の瘢痕

 

また、下記の条件を満たせば単なる醜状も認められます。

 

  • 鶏卵大以上の瘢痕

 

このように頸部であっても、醜状が認められれば後遺障害認定を受けることも可能です。

 

(4)上下肢の立証ポイント

上下肢でも手のひら大の瘢痕がある場合には、後遺障害14級が認められます。また醜状の程度が「手のひら3倍以上の瘢痕」であれば、後遺障害12級が認められる可能性もあるので正しい診断を受けることが大事になっています。

 

(5)胴体の立証ポイント

胴体や胸部など、普段目にしない部位に醜状を負った場合でも、後遺障害14級程度を認定されることがあります。ただし、これは瘢痕の程度によって異なります。基本的には、「醜状障害」は目に見える部位にのみ認定されるため、普段隠れる部位の認定は困難になる可能性も高いです

 

■醜状障害の慰謝料

 

醜状障害の後遺障害認定がされれば、加害者から慰謝料を受け取ることができます。この慰謝料は等級によって異なり、弁護士基準では下記の目安になっています。(※括弧内は弁護士を使わない自賠責保険基準の場合)

後遺障害認定をされた等級弁護士基準の後遺障害慰謝料

後遺障害等級7級認定を受けた場合

1,030万円(自賠責:409万円)

後遺障害等級9級認定を受けた場合

670万円(自賠責:245万円)

後遺障害等級12級認定を受けた場合

280万円(自賠責:93万円)

後遺障害等級14級認定を受けた場合

110万円(自賠責:32万円)

※後遺障害慰謝料には、自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準(裁判基準)の三つがあります。弁護士に依頼すると慰謝料の増額が見込めます。詳細はこちら:弁護士に依頼すれば示談額が増える訳(3種類の慰謝料支払い基準)

 

またこの慰謝料以外に、逸失利益と呼ばれるものも受取れます。この逸失利益とは本来受取れていたであろう将来の給与・賃金を、加害者から受け取れる制度です。

 

しかし醜状障害の場合は、労働能力には問題ないとして逸失利益が認められないこともあります。けれども、醜状による精神的苦痛は大きいもので、労働にも影響が起こる可能性が高いです。そのため、しっかりと保険会社に対して「逸失利益」を請求する必要があるのです。

参考:交通事故の『後遺障害による逸失利益』~重要性と相場計算の注意点

 

■まとめ:醜状障害の場合は弁護士に依頼しておくべき

 

もし交通事故によって醜状障害が起きた場合には、その請求を弁護士に依頼した方がいいでしょう。もちろん、自分でやることはできますが、醜状障害は、立証することが難しい事案です。こうした時に、被害者のことを守ってくれるのは弁護士です。

 

醜状障害に強い弁護士に依頼をしておけば、正確に保険会社に慰謝料、逸失利益を請求することが可能です。また、万が一、訴訟問題に発展したとしても、その時にも被害者を守ってくれます。こうしたことから、被害者の方はリハビリや治療に励み、損害賠償については弁護士等の専門家に依頼する方が賢明と言えるでしょう。

 

醜状障害の後遺障害認定について見ていきましたが、いかがだったでしょうか。醜状障害は外傷こそ見られるものの、本質は精神的苦痛を感じる症状です。その結果、保険会社が軽率に扱うこともあります。

 

こうしたことを防ぐためにも、醜状障害に強い弁護士に依頼して、被害者の皆さんを守ってもらうようにする必要があります。

 

上記で見てきたように、交通事故による後遺症を負った場合の慰謝料を増額して受け取れるためには弁護士の介入が必要となります。

埼玉県越谷市の南越谷・新越谷駅からすぐのところにある当エクレシア法律事務所では、交通事故で後遺障害を負ってしまった被害者の方をサポートしています。越谷市近辺の都市(春日部市、草加市、川口市、吉川市、三郷市、八潮市、さいたま市(浦和、岩槻、大宮など)、蕨市、杉戸町、宮代町、松伏町などや東京都足立区、千葉県流山市、松戸市など)の方からご相談を受け付けております。

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