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交通事故で『高次脳機能障害』に!後遺障害や慰謝料はどうなる?

高次脳機能障害の後遺障害(交通事故)のイメージ

社会生活を送っている限り、交通事故に遭う可能性は避けられません。自分がどれだけ注意していても、相手車両がぶつかってくることもあります。
交通事故に遭うとさまざまな傷害を負うことがありますが、その中に「高次脳機能障害」という症状があります。交通事故で高次脳機能障害になってしまうと、日常生活に多大な支障をきたすにもかかわらず十分な補償を受けていないケースなどもあり、この問題を正しく知っておく必要性が高くなっています。

 

今回は、この交通事故の高次脳機能障害について解説します。

 

○1.高次脳機能障害とは

 

交通事故に遭って傷害を負った場合、高次脳機能障害という後遺症が残ることがあります。

高次脳機能障害が残ると、日常生活には多大な支障をきたすにもかかわらず、周囲や自分ですら気づかないこともあり、大変苦しい思いをすることがあります。

高次脳機能障害とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

高次脳機能障害は、交通事故などによって脳に外傷などの傷害を負ったことが原因となり、記憶障害や注意障害などの各種の神経症状や精神症状が発生することです。脳梗塞脳出血によっても起こる症状です。

 

たとえば、事故以前よりも記憶力が落ちてすぐにものを忘れてしまったり、集中力がなくなって物事に取り組みにくくなったり、判断力が低下して仕事に支障が出ることなどもあります。

 

ところが、一見して「病気」という雰囲気はなく普通に見えるので、本人も周囲もそれが交通事故の後遺症であるとは気づかれずに見過ごされることが多いのです。

実際には高次脳機能障害による症状が残っている状態なので、本人もそれに振り回されて理解できない周囲も、大変苦しむことになってしまいます。

 

○2.高次脳機能障害の症状

 

交通事故で高次脳機能障害になる可能性があることはわかりましたが、高次脳機能障害での具体的な症状はどのようなものなのでしょうか。

高次脳機能障害になると、以下のような症状が出ます。

 

2-1.記憶障害

記憶力が低下してしまう障害です。たとえば、日常生活で物をどこに置いたか忘れることが増えたり、人との約束を忘れたり、物覚えが悪くなるなどの問題が発生します。

 

2-2.注意障害

注意力が低下してしまう障害です。このことによって、集中力がなくなり、会社の仕事でもミスが増えたり、継続して作業することができなくなったり、人の作業を意識せずに妨害してしまうことなども増えてトラブルにつながります。

 

2-3.遂行機能障害

物事をうまくすすめることができなくなる障害のことです。自分での判断力がなくなって、人に指示されないと行動が出来なくなったり、2つ以上の問題に優先順位をつけて対処することができなくなったりします。

 

2-4.社会的行動障害

自分をコントロールできなくなる障害のことです。自分の感情や欲求を抑えることが出来なくなったり、自発的に動けなくなったり、他人に依存する傾向が強まったりします。抑うつ状態になることもあります。

 

○3.後遺障害の認定が重要!

 

高次脳機能障害になると、上記のようにいろいろな問題が発生します。そこで、交通事故後に高次脳機能障害が残ってしまったら、適切な補償を受ける必要があります。

 

交通事故で十分な補償を受けるためには、後遺障害認定を受けることが重要です。

後遺障害認定とは、交通事故で障害が残った場合にそれを認定してもらう手続きのことです。後遺障害には重い方から1級14級までの等級があります。1級の程度が最も重く、慰謝料も最も高いです。14級は最も軽く、慰謝料も安くなっています。

 

後遺障害の認定を受けると、「後遺障害慰謝料」という慰謝料と「逸失利益」という損害賠償金の支払いを受けることが出来ます。

 

認定を受けない限り、どれだけ重篤な後遺障害が残っていても、これらの賠償金の支払いを受けられなくなるので、後遺障害の認定は極めて重要なのです。

 

○4.高次脳機能障害での後遺障害

 

高次脳機能障害では、具体的にどのような後遺障害が認定されるのでしょうか。

高次脳機能障害は、そのケースによっていろいろな症状が出ます。

そこで、認定される可能性がある等級も一律ではありません。具体的には、以下の表のようになります。

 

後遺障害認定等級

後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級1級1号

神経系統の機能は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの(要介護)

後遺障害等級2級1号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(要介護)

後遺障害等級3級3号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

後遺障害等級5級2号

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

後遺障害等級7級4号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

後遺障害等級9級10号

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

 

 

○5.高次脳機能障害の後遺障害認定方法

 

高次脳機能障害を理由として後遺障害の認定を受けるためには、どのような方法をとればよいのでしょうか。高次脳機能障害は、大変難しい症状です。本人や周囲が気づかないことも多いです。

 

そこで、まずは交通事故後本人の様子が以前と変わってしまった場合には、周囲がそのことに気づいて高次脳機能障害を疑うことが重要です。

様子がおかしいと思ったら、すぐに病院を受診しましょう。

 

次に、具体的な後遺障害認定方法を説明します。

高次脳機能障害で後遺障害が認められるには、以下のような認定基準があります。

 

  1. 交通事故後に意識障害や健忘症、軽度意識障害がある
  2. 頭部外傷を示す傷病名の診断がある
    • 脳挫傷
    • 急性硬膜外血腫
    • びまん性軸索損傷
    • 急性硬膜下血腫
    • びまん性脳損傷
    • 外傷性くも膜下出血
    • 外傷性脳室出血
    • 低酸素脳症
  3. 上記の頭部外傷の傷病が、MRIなどの画像で確認できる

 

上記の3要件の立証が認められなければ、基本的に高次脳機能障害の認定を受けることは難しくなります

そして、上記の要件を確認して後遺障害の認定を受けるためには、良い専門医を探して治療を継続し、「後遺障害診断書」を書いてもらうことが不可欠です。

後遺脳機能障害は専門性の高い分野ですので、知識や経験が豊富な医師に診断を受けることが大切です。専門医を探したい場合には、「国立障害者リハビリセンター」内にある「高次脳機能障害情報・支援センター」などに相談してみても良いでしょう。

 

 

○6.高次脳機能障害で受けられる慰謝料の金額は?

 

高次脳機能障害で後遺障害の認定を受けられた場合、どのくらいの慰謝料が支払われるものなのでしょうか。

後遺障害の慰謝料は、認定を受けられた後遺障害の等級によって大きく異なります。

また、後遺障害の慰謝料の診断基準もいくつかあり、どの基準を採用するかによっても数字が異なってきます。

 

ここでは、一番高い弁護士基準(※)を使って慰謝料の額をご紹介します。

 

後遺障害認定された等級

弁護士基準(※)の後遺障害慰謝料

後遺障害等級1級認定を受けられた場合

2800万円

後遺障害等級2級認定を受けられた場合

2370万円

後遺障害等級3級認定を受けられた場合

1990万円

後遺障害等級5級認定を受けられた場合

1400万円

後遺障害等級7級認定を受けられた場合

1000万円

後遺障害等級9級認定を受けられた場合

690万円

(※後遺障害慰謝料には、自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準裁判基準)の三つがあります。詳細はこちら:弁護士に依頼すれば示談額が増える訳(3種類の慰謝料支払い基準)

 

上記のように、高次脳機能障害の慰謝料は、認定された等級によって、相当異なってきます。後遺障害の認定を受けなければ、そもそも慰謝料の支払い自体がありません。

 

後遺障害の認定を受けると、その等級に応じて逸失利益(後遺障害が残ったことによって労働ができなくなった分の損害)の賠償も受けることが出来ます。

よって、高次脳機能障害で十分な慰謝料の支払いを受けるためには、きちんと後遺障害の認定を受けることが非常に重要なのです。

 

今回は、交通事故の後遺障害の中でも高次脳機能障害について解説しました。高次脳機能障害は、とても専門的な問題であり、弁護士を依頼する場合にも専門知識や経験のある弁護士を探すことが大切です。

 

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