1. HOME
  2. 弁護士ブログ
  3. 後遺障害
  4. 交通事故で「手指の後遺障害」の場合の立証ポイントと慰謝料は?

交通事故で「手指の後遺障害」の場合の立証ポイントと慰謝料は?

 手指の交通事故後遺障害のイメージ

交通事故はいつ、いかなる時に起きるか分かりません。軽傷であればまだしも、交通事故の被害によっては後遺症を負ってしまうケースも珍しくないでしょう。日本では交通事故によって後遺症を負った人を救済するために、後遺障害認定制度が整っています。
ここでは「手指の機能障害」について見ていきます。もし交通事故で後遺障害を負ったのであれば、ここで立証のポイントや慰謝料相場を確認してください。

 

■手指とは?その機能と働きについて

 

手指とは手首から先の部位のことで、一般的に「手」や「指」として認識される部分のことを言います。具体的には橈骨(とうこつ)、尺骨より先の部位を指します。

※橈骨と尺骨は、肘と手首の間の二本の骨のことを指します。

 

手指には物を握ったり、摘んだりする働きがあります。また、ジェスチャーなどを通して意思の疎通にも使われる部位です。そのため、手指を失ってしまうと生活に不自由を受けるに違いありません。

 

手指に損傷を負う理由には、例えばスポーツ事故や交通事故などがあります。また、労働災害も多いです。手指は人目にもつきやすいため、損傷を負うと精神的にも苦痛を感じることになるでしょう。

 

■2つの手指の後遺障害

 

交通事故による後遺症は「後遺障害」と呼びます。手指の後遺障害には2つの種類が認められており、「欠損障害」「機能障害」の2種類があります。この違いは次の通りです。

 

(1)手指欠損障害

 

手指の欠損障害とは、「手指を失ったもの」、もしくは「手指の一部を失ったもの」を言います。そして「手指を失ったもの」は下記の2つに該当する症状です。

 

  • 手指の中手骨もしくは基節骨で切断している
  • 近位指節間関節において、中節骨もしくは基節骨を離断している

 

※中手骨は手の指と手首の間の掌の中にある5本の骨を指し、基節骨は掌側の指の骨を指します。指の先端の骨を末節骨と言い、親指以外にある末節骨と基節骨の間の骨を中節骨と言います。

※指の関節を指節間関節と言い、手首から遠い方が遠位指節間関節、近い方が近位指節間関節と言います。なお、掌と指の間の関節は中手指節関節と言います。

 

これらの場合に「手指を失った」と認定されます。手指の欠損障害は、こうした障害の程度と、損傷部位・本数によって認定される等級が変わります。

 

(2)手指機能障害

 

手指の機能障害とは、「手指の用を廃している」「遠位指節間関節を屈伸することができない」のいずれかに該当するものを言います。

 

「手指の用を廃している」場合には、著しく運動障害が起きており、可動域が半分以下に制限されていたりする時に該当します。また「遠位指節間関節を屈伸することができない」場合には、屈伸運動(指の曲げ伸ばし)ができない、もしくはこれに近い状態が当てはまります。

 

■手指の後遺障害認定

 

手指の後遺障害は、「欠損障害」と「機能障害」のそれぞれで等級が定められています。なお、後遺障害等級は1級から14級まであり、1級に近いほど重度の障害として認められます。したがって、正しく診断を受けて、正しい等級を適用することが肝心です。

 

(1)手指欠損障害

 

手指欠損障害では3級から14級まで9段階の後遺障害が認められています。損傷の程度と損傷した指(本数)で認められる等級が変わるので確認してください。

後遺障害認定等級

後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級3級5号

両手の手指の全部を失う

後遺障害等級6級8号

1手の5本の手指、又は親指と4本の手指を失う

後遺障害等級7級6号

1手の親指と3本の手指、又は親指以外の4本の手指を失う

後遺障害等級8級3号

1手の親指と2本の手指、又は親指以外の3本の手指を失う

後遺障害等級9級12号

1手の親指、又は親指以外の2本の手指を失う

後遺障害等級11級8号

1手の人さし指、中指、薬指のいずれかを失う

後遺障害等級12級9号

1手の小指を失う

後遺障害等級13級7号

1手の親指の指骨の一部を失う

後遺障害等級14級6号

1手の親指以外の手指の指骨の一部を失う

 

(2)手指機能障害

 

手指機能障害では4級から14級まで8段階の後遺障害が認められています。その等級は機能障害の部位と本数、また程度によって次の通りに決まっています。

後遺障害認定等級

後遺障害認定の認定基準

後遺障害等級4級6号

両手の手指の全部の用を廃する

後遺障害等級7級7号

1手の5本の手指、又は親指を含み4本の手指の用を廃する

後遺障害等級8級4号

1手の親指を含み3本の手指、又は親指以外の4本の手指の用を廃する

後遺障害等級9級13号

1手の親指を含み2本の手指、又は親指以外の3本の手指の用を廃する

後遺障害等級10級7号

1手の親指、又は親指以外の2本の手指の用を廃する

後遺障害等級12級10号

1手の人さし指、中指又はくすり指の用を廃する

後遺障害等級13級6号

1手の小指の用を廃する

後遺障害等級14級7号

1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなる

 

■手指の後遺障害を立証する際のポイント

 

後遺障害を立証するには「器質的損傷」を確認する必要があります。そのため、手指に損傷を確認し、機能障害の原因を特定することが肝心です。また、正しく検査をするために、専門医・専門病院で診断を受けるようにしましょう。

 

(1)事故時に患部の損傷を確認する

 

手指の後遺障害を確認するには、手指に損傷があることを確認する必要があります。切断や離断であれば、レントゲンやMRIで確認を取ることができるでしょう。

 

また「機能障害」の際には骨折やじん帯損傷が立証ポイントになります。したがって、事故直後に怪我の程度を確認し、それを証拠に押さえておくようにする必要があります。

 

(2)機能障害の原因を特定する

手指の機能障害の原因を特定する必要があります。例えば癒合不良変形癒合等があります。これらは機能障害を立証するために必要になるポイントです。専門病院にて診察・検査をして正しく診断を受ける必要があります。

 

(3)障害の程度を証明する

 

欠損障害であれば障害位置が特定しやすく、その等級も認めやすいです。しかし機能障害の場合は、その障害の程度を正しく検査しなければなりません。医師によっても診断の程度が異なるため、可動域の測定ができる専門病院にて検査をしましょう。

 

■手指の後遺障害による慰謝料相場

 

手指の後遺障害を認められれば、後遺障害等級によって慰謝料を請求することが可能です。この慰謝料にはいくつかの相場があり、ここでは一番高い弁護士基準にならって相場を確認していきます(括弧内に比較のため、自賠責保険基準の場合の慰謝料額を併記)。なお、等級は障害の種類を問いません。

後遺障害認定をされた等級

弁護士基準の後遺障害慰謝料

後遺障害等級3級認定を受けた場合

1,990万円(自賠責:829万円)

後遺障害等級4級認定を受けた場合

1,670万円(自賠責:712万円)

後遺障害等級6級認定を受けた場合

1,180万円(自賠責:498万円)

後遺障害等級7級認定を受けた場合

1,000万円(自賠責:409万円)

後遺障害等級8級認定を受けた場合

830万円(自賠責:324万円)

後遺障害等級9級認定を受けた場合

690万円(自賠責:245万円)

後遺障害等級10級認定を受けた場合

550万円(自賠責:187万円)

後遺障害等級11級認定を受けた場合

420万円(自賠責:135万円)

後遺障害等級12級認定を受けた場合

290万円(自賠責:93万円)

後遺障害等級13級認定を受けた場合

180万円(自賠責:57万円)

後遺障害等級14級認定を受けた場合

110万円(自賠責:32万円)

※後遺障害慰謝料には、自賠責保険基準任意保険基準弁護士基準(裁判基準)の三つがあります。弁護士に依頼すると慰謝料の増額が見込めます。詳細はこちら:弁護士に依頼すれば示談額が増える訳(3種類の慰謝料支払い基準)

 

このほか等級ごとに「逸失利益」を認めさせることもできます。逸失利益は後遺症を負ったことで、事故の後受取れなくなった給料・賃金の代わりとなるお金です。この逸失利益は慰謝料と一緒に求められるため、加害者(保険会社)に請求するようにしましょう。

なお、この逸失利益は場合によっては非常に高額になり、慰謝料の額を超えるケースもあります。専業主婦であっても認められるケースがあります。弁護士にご相談ください。

 

■手指の後遺障害なら弁護士に相談しましょう!

 

交通事故で後遺障害を負ってしまったら、すぐに弁護士に相談をすると良いでしょう。なぜなら、お金のことは弁護士に任せて、患者さんはリハビリ等に努めた方が良いからです。また、後遺障害に詳しくない患者さんよりも弁護士の方が、被害者の権利を主張し、守ってくれやすいからです。そのため、もし手指の後遺障害を負ってしまったら、まずは弁護士に相談をしてみるのが良いでしょう。

 

■まとめ

手指の後遺障害認定について見てきましたがいかがでしたか。手指の後遺障害は「欠損障害」と「機能障害」の2つが認められています。もし交通事故に遭遇し、後遺障害を負ってしまったのなら、弁護士と力を合わせて、加害者から正当な慰謝料・逸失利益を受け取るようにしましょう

 

交通事故で後遺障害を負ったら、エクレシア法律事務所まで

 

交通事故で手指をはじめ後遺障害を負った場合、まずは適切な治療を受け、正当な後遺障害認定や慰謝料を受けられるようにしなくてはなりませんが、交通事故の被害に遭われた方が自分一人で対応するのはとても簡単なことではありません。

加害者側は保険会社が付きますが、被害者側の味方となるのは弁護士です。交通事故に強い弁護士に依頼することがとても重要になります。

エクレシア法律事務所は埼玉県越谷市の南越谷駅・新越谷駅から徒歩3分とアクセスも良く、近隣の春日部市、松伏町、草加市、川口市、吉川市、三郷市、八潮市、東京都足立区、その他周辺からもお問い合わせをいただいております。

弁護士へのお問合せは早めが肝心です。無料相談も実施しておりますので、まずは電話かメールフォームより相談日時をお問い合わせくだい。

エクレシア法律事務所のアクセス方法
越谷市内の方へ
(新越谷/南越谷駅周辺の地図など)
春日部・草加・川口など周辺エリアの方へ
(越谷市外からのアクセス)
●合わせて読みたい関連ページ: