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示談がまとまらなかった時、あなたが取るべき手段とは。

ADR裁判外紛争解決手続きと交通事故弁護士のイメージ

交通事故の示談交渉において、話し合いがまとまらない場合、一般的には訴訟の提起、つまり「裁判」を思い浮かべるのではないでしょうか。けれども、交通事故を解決するための手段は、なにも裁判だけではありません。今回は、示談交渉が難航した場合のための、さまざまな解決方法について解説していきます。

 

■話し合いが長引くと、時効のリスクをかかえることに。

 

交通事故の示談交渉は、あまりにも時間がかかりすぎると時効にかかる事があります。

交通事故による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が交通事故による加害者および損害を知った時から「3年」または、交通事故日より「20年」で時効が完成します。なお、この時効の進行については、ただ内容証明郵便を送付しても中断されません。(6ヶ月以内に訴訟を提起する必要があります)

 

ですから納得ができないからと言って、ことさらに示談交渉を遅滞させるわけにはいきません。では、どのような手段で解決すれば良いのでしょうか。

 

■解決方法1:裁判外で解決するADRってなに?

 

皆さんはADRという言葉を聞いた事があるでしょうか。ADRとは、「lternative(代替的)」「ispute(紛争)」「esolution(解決)」の略称で、「裁判外紛争解決手続き」のことです。

文字通り、裁判以外での紛争解決を目的とする手続きです。

 

また、紛争の当事者が、その解決を図るのにふさわしい手続きを自ら選択できるようにすることが、このADRの一つの目的でもあります。

例えば、裁判所を利用するには気が引ける、という場合はADRの一種である「示談斡旋(示談あっせん)」「審査制度」の利用をおすすめします。

 

○斡旋(あっせん)とは

示談斡旋とは、日弁連交通事故相談センターや交通事故紛争処理センターが行なっている制度で、簡単に言うと当事者双方の間に入って意見調整をしてくれるのです。また、費用は一部を除き特にかかりません。無料です。

 

示談斡旋の申し込みをすると、当事者双方を所定の場所に呼んで担当弁護士が丁寧に事情を聞き、賠償金を計算したり解決に向けた提案をしたりしてくれます。

調停や裁判と違い、弁護士がどちらかの代理人になるのではなく、あくまで中立、公正の立場で事件の早期解決のために力を貸してくれます。

また、相談だけの利用もできますので、示談に行き詰まったら気軽に相談してみましょう。

 

○審査とは

 

斡旋によっても示談が成立しない場合は、当事者の申し出により弁護士や法律学者などで構成する審査会が審査し「裁定」を下してくれます。

裁定とはいわば裁判で言うところの判決のようなものですが、あくまで裁判ではないので、被害者がそれに拘束される事はありません。ただし、保険会社側はこれに拘束される点がポイントとなります。

 

なお、交通事故紛争処理センターの審査は、加害者が任意保険や任意共済などに加入している場合にのみ利用可能です。

 

■ADRのもつ大きな2つのメリット

 

○経済的である。

 

示談交渉を解決するために訴訟を起こせば、弁護士費用などかなりの費用がかかる事になります。ですから、賠償金が低額であるような交通事故の場合は訴訟を提起することで費用倒れとなるリスクがあります。

ですが、ADRであれば、一部を除いて原則無料で利用できるため、費用の問題で訴訟提起に踏み切れないような案件の解決にはとても向いています。

 

○解決スピード。

 

交通事故で訴訟を起こすと、全て解決するまでに早くても半年、長ければ数年がかりとなります。

その点ADRであればおよそ3回程度の審議で終わるため、3ヶ月程度で解決します。

 

■解決方法2:民事調停

 

民事調停は、先ほどのADRと同じような手続きを裁判所の中で行なうようなイメージです。

裁判所の調停委員が被害者と加害者の事情を丁寧に聞いて、中立的な立場で助言してくれます。

 

ADRとの決定的な違いは、強制力がある点です。話し合いがまとまって調停が成立すると「調停調書」というものが作成されます。これにはいわゆる「判決」と同じ効力あがり、強制執行も可能になります。

 

人身事故の場合は、被害者の住所地を管轄する簡易裁判所、物損事故の場合は相手の住所地を管轄する簡易裁判所に対して一定の書類を提出して行ないます。

 

■解決方法3:少額訴訟

 

140万円以下の請求額であれば、簡易裁判所の少額訴訟を利用する事が出来ます。少額訴訟の特徴は、審理が1日のみで終了しその場で判決が言い渡される事です。

拘束される時間も最小限ですので、非常に迅速に解決する事が可能です。

但し、過失割合を争うような複雑な事故類型の場合は、1回の審理で終わらせる事が難しいため、通常訴訟を提起する事になります。

 

■解決方法4:通常訴訟

 

○        損害額が大きい

○        過失割合を争っている

○        後遺障害認定を受けている

○        双方の言い分に食い違いがある

 

こう言った場合は、やはり訴訟によって解決する必要があるでしょう。

たしかに、ADRや調停、少額訴訟などは、早期解決といった観点からすれば、非常に魅力的な手続きです。

しかし、一番の目的は「適切な賠償金」を受け取る事です。複雑な事案にも関わらず、無理にこれらの手続きを選択してしまうと、本来請求できたはずの金額を、取り損ねてしまう可能性すらあります。

 

重要な事は、これらどの解決手段を選択するのかについて、自分自身の判断のみで決めるのではなく、交通事故に精通した弁護士に相談の上選択する事が、あなた自身の利益確保のためにも非常に重要なのです。まずは、交通事故に遭った場合は、弁護士に相談をすることでしょう。

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