交通事故紛争処理センターのメリット＆デメリット＆費用無料！

交通事故の被害に遭い、加害者側との示談交渉が平行線のままで困っている。けれどもあまり大きな費用をかけたくない。そんな場合に利用できる機関として「財団法人交通事故紛争処理センター」という組織があります。
今回は、この交通事故紛争処理センターを使うメリット、デメリット、そして訴訟を起こす場合との違いなどについて解説していきます。

■交通事故紛争処理センターで慰謝料増額できる？

交通事故紛争処理センター（紛セン）には嘱託弁護士が常駐していて、「公正中立」な立場で被害者、加害者双方の主張を聴取して、示談がまとまるよう和解のあっ旋をしてくれます。

弁護士に依頼する場合との大きな違いは、あくまで「公正中立」ですので、あなたの利益のために嘱託弁護士が加害者を説得してくれるわけではありません。紛センは「被害者の利益のため」ではなく、「適切で迅速な解決」を一つの目的としていますので、その点であなただけの味方となる弁護士とは異なった解決法と言えます。

なお、紛センの費用は無料ですので、被害者は安心して利用する事が出来ます。

■交通事故紛争処理センターの評判・メリット

１：費用が無料

ご自身が費用を負担して弁護士を雇う必要がなく、紛センの嘱託弁護士が無料であっ旋してくれます。

２：保険会社は交通事故紛争処理センターの裁定案に従う。

交通事故紛争処理センターがあっ旋の結果出した裁定案については、保険会社はこれに従わなければならないため、その後訴訟までもつれる心配がありません。但し、被害者自身がこの裁定案に納得できない場合はこれを拒否し、訴訟を提起する事は可能です。

３：弁護士基準が採用される。

慰謝料などを算定する際に用いる基準の中でも、弁護士基準は保険会社基準よりも高いため、紛センを利用すれば保険会社が当初提示してきている賠償金が増額になる可能性があります。

４：裁判よりも解決が早い。

提訴した場合は、解決までに長いと数年かかることもありますが、交通事故紛争処理センターは迅速な解決を目的としていますので、非常にスピーディーな解決が期待できます。

このように口コミ・評判も良くメリットの多い交通事故紛争処理センターですが、一部デメリットもあります。

■交通事故紛争処理センターの口コミ・デメリット

1：よくも悪くも公正中立。

公正中立と聞けば聞こえはいいですが、早い話あなただけの味方ではないため、慰謝料や交通事故に強い弁護士に示談交渉を依頼した時に比べ、「被害者の利益の最大化」という観点からするとある意味デメリットでもあります。

２：担当弁護士は原則変更できない。

交通事故紛争処理センターは無料で利用できますが、その反面担当となった嘱託弁護士については、たとえ相性があわなかったとしても事案解決まで変更する事ができません。なにしろ無料ですからこの辺りはしかたないかもしれません。

３：大きな事故の場合は時間がかかる。

交通事故紛争処理センターは、比較的軽度な事故の解決にはスピード感がありますが、反対に重度の後遺障害を負っているような大事故の場合は、裁判と同様に慰謝料をもらい解決するまで時間がかかる可能性があります。このような場合は最初から裁判による方が良いと言えるでしょう。

４：加害者が任意保険に加入していない場合は利用できない。

交通事故紛争処理センターを利用できるのは、原則加害者側が任意保険に加入している場合です。場合によっては、加害者の同意があれば利用できることもあるようですが、原則はできません。また、加害者が任意保険に入っていたとしても、その契約内容によっては利用できない場合もあります。

これらのメリットとデメリットから言える事ですが、交通事故紛争処理センターは被害が小規模な事故を、費用をかけずに迅速に解決するには適していますが、一方、賠償金が多額になったり、加害者側と激しく対立したりしているような場合は、最初から交通事故に強い弁護士に依頼し、代理人となってもらって交渉を進めていく方が、結果的には「依頼者の利益の最大化」に繋がるケースが多いということです。