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『示談交渉』こんな場合には要注意!注意すべき3ポイント

示談で握手のイメージ

交通事故において最もポピュラーな解決方法は「示談交渉」です。示談と難しい言葉で表現していますが、ようは当事者同士の「話し合い」で解決をする事です。

 

示談交渉は当事者同士が合意すれば、原則的にはどんな内容だとしてもそれが有効となります。例えば、基本過失割合が0:100である追突事故のような場合でも、被害者、加害者が話し合って10:90の過失割合で合意したのであれば、それはそれで「有効」となってしまうのです。

 

日本には「契約自由の原則」というものがあり、公序良俗に反しなければ、基本的にはどんな契約でも一応は有効として扱われます。示談による合意も一種の契約ですから、知識のないまま示談に応じてしまうと後から取り返しがつかなくなってしまいます。そこで今回は、交通事故の示談交渉において、よく陥りやすい落とし穴とその対処法について解説してみます。

 

■示談交渉の落とし穴その1:交通事故発生直後の示談

 

最初に気をつけてほしいポイントは、事故発生直後の示談交渉です。特に物損事故など軽い接触や追突事故の場合、加害者側から「5万円で勘弁してもらえませんか」などという即席の示談交渉を持ちかけられる場合があります。警察を呼ばれたくない人や、先を急ぎたい人などはこの即席の示談に応じてその場でお金を受け取ってしまう人も中にはいるようですが、これは絶対にやめて下さい

 

交通事故直後の示談交渉は、いかなる場合でもNGであると覚えておいて下さい。ちなみに示談交渉は、示談書を交わさなければ成立しないと考えている人も多いのですが、実は示談交渉は書面でなくとも当事者双方の意思が合致していれば、たとえ「口頭」でも成立します。分かりやすく言うと、口頭で示談交渉をし、お互い握手をするだけでも相手には示談成立ととられる可能性があるのです。そして一度示談が成立すると、基本的にはその内容をあとから覆す事はできなくなります

 

ですから、事故現場では絶対に示談交渉はせず、警察を呼んで現場の状況把握のみに務め、後の示談交渉は弁護士に依頼する等しましょう。

 

■示談交渉の落とし穴その2:症状固定時期の示談

 

示談交渉において重要なポイントの一つが「症状固定」です。症状固定とは治療の終わりを意味し、症状固定をもって、保険会社からの治療費の支給が終了する事になります。問題となるのは、この症状固定の時期をかなり早いタイミングで加害者側が主張してくることです。

 

特に加害者の任意保険会社が、被害者の実際の症状を無視して一方的に治療費の打ち切りを告知してくる場合があります。

例えばむち打ち症などの神経症状が発症している場合は、症状固定時期の判断が医師によっても見解が分かれることがあり、保険会社としては概ね2〜3ヶ月程度で一方的に症状固定と決めつけ、治療費を打ち切る場合があります。

 

このような保険会社の一方的な主張は、被害者が適切に対処する事で、万が一打ち切られたとしても後から遡って請求する事も可能になります。その場合には弁護士が間に入ることが現実的には必要となってきます。

もしもこのような話があった場合は、大至急弁護士に相談しましょう

 

■示談交渉の落とし穴その3:保険会社からの示談金の初回提示

 

示談交渉における一番の落とし穴が、実は、保険会社から最初に示談金が提示されるこのタイミングです。必ず覚えておいてほしいことは、示談金の初回提示額は一般的な示談金相場よりもほぼ間違いなく「低い」ということです。その理由を簡単にご説明します。

 

【示談金の項目ごとの増額要素のポイント】

○治療費

治療費については、先ほどの症状固定の問題があると、実際はまだ治療を受けているにもかかわらず、保険会社によって治療費の支払いを早々に打ち切られてしまい、支払われるべき治療費が十分に支払われない場合があります。

 

○慰謝料、後遺障害慰謝料

交通事故によって、通院や入院を余儀なくされ精神的苦痛を受けた事に対する慰謝料と、後遺障害に認定された場合に請求できる後遺障害慰謝料です。

慰謝料には自賠責基準任意保険基準(原則非公開ですが、自賠責基準とあまりかわりません)、裁判基準の3つの基準が存在し、保険会社は最も低い基準である自賠責基準に近い基準によって算定してきます。例えば1ヶ月間通院した場合の慰謝料は、弁護士が裁判基準によって算定し直して交渉することで2倍以上の金額になる可能性があります

 

なお、後遺障害については、ご自身で障害の度合いを主張することはできず、医師による後遺障害診断書が必要となります。適切な後遺障害診断書を医師に書いてもらう必要があるため、診断書の内容によっては保険会社の主張どおりとなり、泣き寝入りしなくてはならないケースが発生し得るのです(参考記事:交通事故で後遺障害を負った際に気をつけるべき3つのポイント)。

 

○休業損害

交通事故によって仕事を休んだ事に対する補填となります。会社員であれば休んだ日数分の給与を、自営業者であれば確定申告等による年収をベースに計算する事になります。しかし、保険会社の初回提示額には、驚く事に休業損害という項目自体が盛り込まれていない場合もあります

特に、むち打ち症などの比較的軽い症状の場合は、労働力に与える影響を軽視される傾向にあるので、この点は必ず弁護士に依頼して保険会社に対して請求してもらいましょう。

また主婦のように勤務をしていない、家事労働しかしていな専業主婦のケースであっても、主婦業の休業損害として請求できるケースもあります(参考記事:交通事故慰謝料!『主婦の休業損害の金額と計算方法』まとめ)。この主婦業の休業損害分が、保険会社の提示額に入っていないケースがあり、これも増額要素となり得ます。

 

○逸失利益

交通事故に遭った事で失った利益の事を言います。例えば人身事故で人対車のような場合は、後遺障害第1級に該当するような重傷を負うケースもあり、そうなると逸失利益の金額は相当な金額に上ります。これについても、保険会社の初回提示額としては非常に低くなります。

 

このように、示談金の項目ごとにさまざまな増額要素があり、これらを弁護士が適切に損害額を算定し直して再度請求する事で、示談金は何倍にも増額されるのです。

 

 

さて、おさらいしてみましょう。

 

【ポイント1:事故直後は絶対に示談交渉をしない、また相手に示談成立と勘違いさせるような行動をとらない】

【ポイント2:まだ治療中にも関わらず治療費の打ち切りを保険会社から告知されたら、すぐに弁護士に相談する】

【ポイント3:保険会社から初めて示談金の提示があった際には、すぐにその内容に合意せず、その示談内容を検証して増額させるために弁護士に相談する】

 

最低限この3つを覚えておけば、示談交渉において失敗することはないでしょう。

 

 

示談交渉は「1回」きりで一度合意したらやり直しはききません。もしもあなたが何らかの示談を加害者側と交わしてしまった場合は、いくら弁護士でもその事実を覆す事は容易ではありません。そのため、加害者側と示談交渉をする際には、できる限り早めに交通事故に強い弁護士に相談しましょう

 

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