【子供の飛び出し事故】過失相殺は可能?被害者遺族の対応とは?
商店街などを運転していると、突然歩道から小さな子供が飛び出してくることってありますよね。運転している方としてはヒヤッとさせられます。ではもしも、このようなケースで小さな子供が回避不可能なくらいのスピードで車道に飛び出してきた場合、その子供に対して過失相殺を主張する事はできるのでしょうか。
■何歳以上なら過失相殺が可能か
交通事故において被害者側に過失相殺を主張する場合、被害者に「事理弁識能力」が備わっていることが必要となります。いわゆる物事の善し悪しの程度を理解できる年齢のことで概ね小学校低学年である7歳程度と言われています。
では先ほどの場合、被害者の子供が3〜4歳程度の幼児だった場合は、加害者は過失相殺をする事が出来ないのでしょうか。
○「被害者側の過失」という考え方がある
先ほどの原則からいけば、幼児自体の過失を主張する事は難しいように思われますが、実は過失相殺における被害者側の過失は、被害者本人の過失だけではなく、その監督義務者である親の過失も 「被害者側の過失」というくくりで認定される可能性があります。
つまり、そんな幼い幼児を交通量の多い道路付近で目を離して監督者としての義務を怠ったという過失が「被害者側の過失」ということになり、これを基に過失相殺をする事ができるのです。
なお、過去の判例でも親に対して過失が認定されたケースがあります。(最高裁昭和51年3月25日)
ただ、このようなケースでは被害者側も当然反論してくることが予想されますので、過失相殺を主張する場合は、必ず弁護士に相談してからにしましょう。
■死亡した場合の被害者遺族の対応
今度は被害者の視点で考えてみましょう。
万が一このようなケースで子供が死亡した場合、遺族は示談交渉において何をすべきなのでしょうか。このような死亡事故の場合、被害者遺族がすべき事は「証拠の確保」です。何しろ交通事故の被害者本人が亡くなっているわけですから、その当時の証言を本人から聞く事ができません。そうなると最悪の場合、生き残った加害者の証言だけで裁判が進んでしまう可能性があります。
そのため、遺族としてはできる限り早い段階で有力な証拠の確保に動かなければなりません。
○どのような証拠が必要なのか
まず死亡事故において争点となるのは「過失割合」です。つまり被害者側にどの程度の過失がつくかで、遺族が受け取れる賠償金の金額が大きく変わってくるのです。死亡事故の場合、死亡慰謝料だけでも3,000万円以上の金額となる可能性があるため、その他の損害などと合わせると賠償金の総額が1億円を超えるなんていうこともあります。そこまで賠償金が高額になると、過失割合が1割違うだけで遺族が受け取る賠償金の金額が1千万円単位で変わってくるため、過失割合はとても重要なのです。
そこで集めたい証拠は、「目撃者」と「事故映像」です。ドライブレコーダーが搭載されていれば一番良いのですが、無い場合はこの2つに頼るしかありません。
・その1:目撃者の確保
実はこれがかなり大変です。警察も加害者の刑事責任を追及するため聞き込みを行なってくれますが、これはあくまで刑事責任を追及するためであって、被害者が損害賠償請求をするためではありません。
また、人の記憶は時間とともにどんどん曖昧になっていき、証拠能力も弱くなります。
ですから、目撃者を確保する場合は、事故後できる限り早い段階で事故現場において目撃者がいないか聞き込みを行なったり、警察や地権者などと相談して立て看板などを設置させてもらったりする必要があるでしょう。
・その2:事故映像
これが非常に有効な証拠となる可能性があります。最近では住宅やマンションの至る所に防犯カメラが設置されているため、どこかのカメラ映像に交通事故の瞬間が映り込んでいる可能性があります。
ただ、注意してほしいのは、防犯カメラのタイプによっては、映像が保存されている期間が2週間程度であることがあります。つまり、2週間以上経つと新しい映像が上書きされていくので、重要な証拠が消滅してしまう可能性があるのです。
そのため、防犯カメラ映像から有力な証拠を見つける場合は、事故後速やかに近隣の住宅やマンションに聞き込みを行なう必要があります。
○賠償金に利息はつくのか
これもたびたび質問を受ける事なのですが、結論から言うと法定利率年5%の利息を加害者に対して請求する事が可能です。ではどの時点から遅延がスタートしていると考えるかと言うと、それは「事故発生日」から起算して計算する事になります。
ただ、示談交渉などではこれらの金額を保険会社側が支払いを拒んでくる可能性があるので、請求する場合はできる限り弁護士に依頼しましょう。
交通事故では被害者も加害者も気が動転してしまいますし、何より被害者は痛みを抱えている状態です。場合によっては命を落とすケースもあるわけです。そのような状態ですので、冷静になることは難しいかもしれませんが、弁護士という味方を付けつつ毅然とした対応する必要があります。
交通死亡事故においてはなおのこと、交通事故被害者の遺族が証拠を押さえるために立ち振る舞わなければならない部分が多々あります。精神的苦痛を抱えながらの対応となりますので、なおのこと速やかに弁護士の協力を仰ぐべきです。
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