子供が交通事故に!慰謝料は後遺障害認定によって増額されるのか?~精神的苦痛の代償の相場は?~
目次
子供が交通事故にあって顔に傷跡が残ってしまいました。通常の大人の場合の慰謝料より高くなるのでしょうか?
また事故にあっていない親に対して、精神的苦痛の慰謝料は支払われるのでしょうか?
■顔面の傷に対する慰謝料相場について。
交通事故によって顔面をはじめ、人の目につく場所に一定以上の大きさの傷跡が残った場合は、後遺障害認定の対象となる場合があります。
下記に、後遺障害認定に際しての等級の目安と、その際に受け取れると想定される後遺障害に基づく慰謝料額をご紹介します。
○第7級12号:外貌に著しい醜状を残すもの。
外貌(がいぼう)とは、頭、顔面、首のように腕や足以外で日常的に露出する部分の事を言います。今回の事例のように顔に傷跡が残った場合、次の大きさに該当すれば下記慰謝料が認められる可能性があります。
① 頭に手のひら部分以上の傷や頭蓋骨の欠損。
② 顔面に鶏の卵サイズ以上の傷跡、又は10円銅貨以上の組織陥没(くぼみ)が残ったもの。
③ 首に手のひらサイズの傷跡が残ったもの。
④ 耳の半分以上の欠損。
⑤ 鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損。
ちなみに、醜状はあくまで人目につくことで精神的苦痛を味わうことに対する慰謝料なので、髪の毛や眉毛で隠れる場合は醜状と認められません。上記に該当する場合は以下のような慰謝料が目安となります。
●保険金額上限:1,051万円
●労働能力喪失率:56%
●自賠責保険基準の慰謝料額:409万円
●弁護士基準の慰謝料額:1,300万円(→891万円の増額が想定される)
○第9級16号:外貌に相当程度の醜状を残すもの。
「相当程度」とは、顔面に長さ5センチ以上の線状痕で、人目につく程度以上のものについて認定されます。
慰謝料の目安としては以下のようになります。
●保険金額上限:616万円
●労働能力喪失率:35%
●自賠責保険基準の慰謝料額:245万円
●弁護士基準の慰謝料額:690万円(→445万円の増額が想定される)
○第12級14号:外貌に醜状を残すもの。
以下のような症状の場合は、12級となります。
◎ 頭部に鶏の卵大面以上の傷跡が残った場合。
◎ 頭蓋骨が鶏の卵大面以上に欠損した場合。
◎ 顔面に10円玉以上の傷跡、又は長さ3センチ以上の線状の傷跡が残った場合。
◎ 頸部に鶏の卵より大きな傷跡が残った場合。
◎ 耳殻の一部を欠損した場合。(1/2以上欠損した場合は7級12号となる)
◎ 鼻の軟骨部の一部又は鼻翼が欠損した場合。(全部又は大部分の欠損は、7級12号となる)
認められる慰謝料の目安としては以下の通りです。
●保険金額上限:224万円
●労働能力喪失率:14%
●自賠責保険基準の慰謝料額:93万円
●弁護士基準の慰謝料額:290万円(→197万円の増額が想定される)
なお、顔面以外にも、上半身、下半身で傷跡が残った場合は、以下のような後遺障害に認定される可能性もあります。
○第14級4号:上肢の露出面に手のひらサイズの醜いあとを残すもの。
○第14級5号:下肢の露出面に手のひらサイズの醜いあとを残すもの。
■子供の場合、慰謝料は高くなるのか。
これは非常に難しい問題です。確かに子供の方が、将来にわたって受ける総ダメージは大きくなる可能性がありますから、金額が上がる可能性はあります。
つまり、「逸失利益」がどの程度に評価されるかがポイントとなります。
参考になる情報としては、平成14年当時に裁判所が示した大要として以下のような趣旨のコメントをしています。
○その1:裁判上の外貌の醜状に関する取扱いについては、被害者の性別、年齢、職業などを考慮した上で醜状痕の存在のために配置転換させられたり、職業選択の幅が狭められたりするなどの形で労働能力に直接的な影響を及ぼす恐れのある場合は、逸失利益を認める。
○その2:労働能力に直接影響がなくても、対人関係や対外的な活動に消極的になるなどの形で間接的に影響を及ぼす可能性がある場合には、後遺障害慰謝料の加算事由として考慮し、原則100万円〜200万円の幅で増額する。
このような基準を示しました。
また、上記に該当しない場合は、後遺障害慰謝料に増額はしないとも述べています。
このコメントから推察すると、今回のケースの場合、その2に該当すれば賠償金の増額要素となると思われます。
■親の慰謝料は認められるか。
一般的には難しいと言わざるを得ません。
子供が交通事故で怪我を負ったとして、親に慰謝料が認められるケースとしては、生命の危機に直面するような極めて重度な症状の場合か、事故によって死亡してしまったような場合でなければ、親固有の慰謝料としてはなかなか認められないでしょう。
但し、弁護士の力量次第では、子供に対する慰謝料の増額的要素として多少考慮される可能性はあります。つまり、親自身の慰謝料として支払われる事はなくても、賠償金の総額に対する増額要素または修正要素として考慮される余地はあるということです。
このように、顔の傷など外貌に対する損害賠償は裁判上でも難しい判断を迫られる事が多々あります。納得のいく解決・判決を求めるのであれば、必ず交通事故に強い弁護士に依頼する事をお勧めします。
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