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解決事例

高次脳機能障害の診断から後遺障害7級4号認定に至った事例

90万円の示談提示額に対して、高次脳機能障害の診断を受け、後遺障害7級4号認定に至り、示談金3500万を円獲得した事例

相談者

Aさん、30代、自営業 男性

相談前

信号機のある交差点で、バイクのAさんが青信号で直進、前方から右折直進してきた相手方自動車と衝突。上顎骨骨折等の傷害を負い、めまい、ふらつきなどの症状に悩み、約半年間、脳神経外科や整形外科に通院して治療終了。その後、1ヶ月後に保険会社から後遺症を前提としない示談金額約90万円の提示がありました。Aさんは、示談提示後も後遺症に悩んで、脳神経外科の主治医の先生と相談し、大学付属病院で検査をして貰うことにしました。検査では脳機能に障碍があるとの指摘を受け、示談金額も少ないことに疑問を持ち、相談に来られました。

相談後

Aさんとの面談の際、挙動不審で落ち着きがなく違和感を覚え、事故後は物忘れもひどいとのことから、診療記録を検討したところ、高次脳機能障害であることが判明しました。そこで、医療記録一式を取り寄せたうえ,家族の協力も得て,後遺障害等級認定申請手続きを進めま、後日、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、簡易な労務以外の労務に服することができないもの」に該当する後遺障害等級第7級4号の認定を受けました。
この等級を前提に損害額を算定しましたが、Aさんは、自営業者であったものの確定申告をしてなかったため収入の資料がなく、しかも収入が不安定で、逸失利益の算定に大きな障碍がありました。当事務所は、慰謝料は裁判基準で損害額を算定し、逸失利益については、ご本人の年齢や学歴から再就職の可能性もあることから、賃金センサスでの収入をもとに算定し、総額約4200万円を要求しました。保険会社は、現在の自営収入をもとに、約2600万円の提示をして来ましたが、最終的に、3500万円で示談が成立しました。

弁護士からのコメント

後遺症について:相談の際、何らかの脳機能障害が疑われ、医療記録からも脳機能障害が明らかでしたので、当事務所は、等級獲得に全力を尽くしました。Aさんがもし弁護士に相談しないで、自分で保険会社と交渉していたら、後遺症も認定されず、100万円程度の示談でごまかされていたかもしれません。一旦成立した示談を後から、「あれは間違いでした。示談は無効です。」といってひっくり返すことは原則できません。本当に弁護士に相談することの重要性を認識させられる事案でした。
逸失利益について:実収入を認めさせるには、ある程度確実な資料からの証明が求められるのが裁判例ですが、Aさんには確定申告をしていないこと、収入を証明する資料が乏しいことの不利な点があり、裁判に持ち込んでも必ずしも有利な結果を得られないおそれがありました。後遺症認定までに時間がかかったことから、示談金額3500万円がぎりぎりの線で、Aさんには、十分納得して頂きました。
事件からの教訓:相手方保険会社は、後遺症認定のため積極的に動いてくれるものではない意味で、決して被害者の見方ではないこと。自分のことは自分で護らなければいけないので、弁護士に依頼することの重要性を再認識させられました。