専業主婦の方の損害
交通事故の被害者になると、専業主婦の方でも休業損害を請求することができます。専業主婦であっても、休業損害が認められているにもかかわらず、それを知らない方も多いのが現状です。そもそも交通事故に遭った場合に賠償を請求できる損害として、「消極損害」があります。これは、交通事故に遭わなければ、得ることができていたであろう収入を、損害するというものです。この消極損害の賠償金の種類として「休業損害」が存在します。休業損害とは、交通事故によって傷害を負ったために、休業を余儀なくされた場合に、得るはずだった収入・利益を、損害として賠償請求できるというものです。
専業主婦の方の損害は、休業損害
前述しましたように、交通事故に遭った場合、専業主婦の方の損害は、休業損害となります。主婦の方の休業損害請求は、家事労働が金銭的評価ができるということを意味しています。交通事故に遭うと、家事をこなすことが困難となりますので、その分の損害が認められているというわけです。もちろん、家事従事者は性別に関係なく、専業主夫の場合にも同様です。家事労働者とは、性別・年齢は問いませんし、主婦的労働に従事する者となっていますので、男女問わずに家事労働者としての保証が受けられます。
専業主婦の休業損害の慰謝料については、自賠責保険基準では、日額5,700円と決められています。例えば、2カ月の休業となった場合には、60日×5,700円=342,000円という計算になります。また、慰謝料に関しては、3つの支払い基準があり、治療費・通院費・休業損害慰謝料の合計が120万円以下であれば、自賠責基準で支払われることになります。また、合計額が120万円を超えた場合には、治療期間に応じた任意保険基準で支払われることになりますし、仮に、交渉を弁護士に委任した場合には、弁護士基準に近い額で、支払われることになりますので、専業主婦でもまったく問題はありません。
会社員の場合には、会社から休業損害証明書を発行してもらうことができますが、主婦の場合には、家事ができなかった期間を証明することは難しいといえます。実際、任意保険会社は、家事従事者の休業日数に対しては、厳しい判定をする傾向があります。休業日数を証明するために、医師の診断書などが必要になるケースもあります。証明できそうな書類などは、しっかりと保管しておくことをおすすめします。専業主婦の方の休業損害の適用日数については、交渉次第という部分が大きいのが現状です。