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交通事故慰謝料!『主婦の休業損害の金額と計算方法』まとめ

主婦の休業損害のイメージ

交通事故の被害に遭った場合に加害者側に請求できる損害賠償の項目の中に、「休業損害」というものがあります。これは、事故によって怪我を負った事によって仕事ができなくなった損害に対する補償のことですが、実際には収入のない専業主婦(家事従事者)が被害者となった場合、主婦手当としてこの休業損害、また慰謝料は請求できないのでしょうか?

 

■家事従事者の主婦休損の具体例

 

夫と子供の3人家族である専業主婦Xが、買い物帰りに後ろから追突され交通事故に巻き込まれました。重度のむちうちと診断されました。事故後は首が全く動かせない状態で、家事従事者としての労働が何もできなくなってしまいました。

 

さらに、2週間を経過した後も、一定の方向を向くことができず非常に不便な状況です。専業主婦のため、実質的な収入はありません。慰謝料や示談金がとても必要な状況です。

 

■安心して下さい。主婦でも休業損害は請求できます。

 

実は、交通事故にあったら、金銭的な収入のない主婦でも休業損害(いわゆる主婦休損)が認められます。家事労働についても、一定の労働力として金銭的に評価をし、それを基に休業損害を算出して相手に請求できます。では、どのようにして主婦の家事労働を金銭として評価するのでしょうか。

 

■主婦の休業損害の計算方法とその金額&期間

 

主婦の休業損害(主婦休損)は、政府統計に基づく賃金構造基本統計調査「賃金センサス女子学歴計全年齢平均賃金」を基に算出します。これは厚生労働省が発表しているもので、年度別に男女の平均年収賃金を統計データとして公表しています。

 

主婦の休業損害は、この賃金センサスの女性平均年収を365日で割って一日あたりの休業損害を算出します。

 

例えば、平成23年度の賃金センサスを基に算定すると、一日あたり「9,750円」となります。

 

但し、常にこの全額が休業補償されるわけではなく、怪我が主婦の家事労働に与えている影響の度合いに応じて考慮されます。

 

例えば、上記の具体例で言えば、むちうちですので、100%の補償は難しいと思われます。妥当な期間のラインとしては、事故後2週間までが80%、その後は家事労働への影響を加味して、期間は60日間を限度として40%程度の休業補償が、裁判所が認める範囲と予想されます。

 

■休業補償だけではない!逸失利益も請求可能です。

 

例えば、交通事故によって主婦が死亡してしまったような場合は、逸失利益の請求が可能です。この算定方法も、基本は休業損害と同じで平均センサスを利用して算出します。

 

但し、逸失利益の場合は、もしも生きていた場合の生活費を想定してそこから30〜40%程度控除し、67歳まで就労可能として計算します。ただ、この年齢制限はあいまいであり、近年では67歳を過ぎても働いている女性は沢山いますので、これ以上高い年齢でも裁判所が認める可能性はあります。

 

■専業主婦がアルバイトやパートをしていたらどうなる?

 

ここで問題となるのが、専業主婦がパートやアルバイトをしていたような場合です。なぜ問題かと言うと、主婦の実際のパート収入をベースに休業損害を計算してしまうと、平均センサスで計算した専業主婦の方が、休業損害が高く算出されてしまうからです。

 

ですがご安心下さい。

 

このような場合は、たとえパート主婦が交通事故に巻き込まれたとしても、専業主婦と同じく平均センサスで求めた休業損害で請求が可能とされています。

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